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なぜクレジット会社やサラ金が過払い金を返してくれるのか

最近「過払い返還請求」が話題になっています。

大阪知事になった橋本さんが以前「過払い返還請求訴訟は簡単な仕事で助手に任せておいても大丈夫な作業で、訴訟も必ず勝てる。弁護士にとっては一番楽に稼げるおいしい仕事ですよ」なんてことを「そこまで云って委員会」で話していました。

たかが3000円位で買えるソフトを使えば、誰がやっても超簡単に過払い金額は計算出来ます。銀行系のクレジット会社のように筋の良い業者は訴訟などしなくても向こうから和解を提案して来るようです。

今回はどうしてクレジット会社やサラ金が過払い金を返すのかについて考えて見たいと思います。まず、そもそも「過払い金請求」って何なのか? について説明していきたいと思います。

「利息制限法」と「出資法」と「グレーゾーン金利」

御存じのように金利に関する法律には、「利息制限法」「出資法」があります。

「利息制限法」は利息の上限を制限する法律で、

元金10万円以下なら20%、10万円超100万円以下18%、100万円以上は15%以下の利息しか認めず、これ以上の利息は無効。

としてはいます。

ただ、同法の一条二項には、

債務者が超過部分の利息を任意に支払ったときは、その返還を請求することはできない。

とあり、更に違反しても罰則がありません。

「出資法」は「出資の受け入れ、預かり金及び金利等の取締りに関する法律」の略称だそうですがこの法律では、

貸金業者は29.2%まで、貸金業以外の者は109.5%までしか利息を取ってはならず、違反すると5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金を科す。

と定められています。

ここで気になるのは、出資法は違反すると罰則ありで、利息制限法は違反しても罰則なしということ。

「利息制限法」の上限金利を破っても罰則なしなら、貸金業者は出資法の上限ギリギリまで金利をとっちゃえ! と思うわけです。

この「利息制限法」で定められた上限金利と、「出資法」で定められた上限金利の間を、いわゆるグレ-ゾーン金利といいます。

多くの貸金業者(特に消費者金融)が2010年6月の法改正まで、このグレーゾーン金利分を利用者からふんだくっていました。法改正後、その余分に払ったグレーゾーン金利をきっちり返してもらおう! というのが今回問題の「過払い金返還請求」なのです。

グレーゾーン金利に関する裁判の判決の推移

2005年2月23日 札幌高裁で、ある男性が貸金業者に58万5000円を借りたところ、合計108万9000円を返済させられたことに対し、その業者を訴えた裁判の控訴審判決で、「元本と資金全額の返済」を業者に命じる判決が下りました。

その後も、だんだんと債務者を擁護するような判決がでるケースが多くなっていき、最高裁でもグレ-ゾーン金利は認められないことが定着していきました。

この流れを受け、腰の重かった国会も2006年9月15日、ようやく貸金規制法の改正に踏み切りました。

そして、2007年(平成19年)12月19日、名称が「貸金業の規制等に関する法律」から「貸金業法」と改められ施行されました。(完全施行は2010年平6月18日)

内容は、

利息制限法所定の制限利率(15%~20%)と出資法所定の上限利率(29.2%)の間の金利での貸付けについては、行政処分の対象とする。

と、グレーゾーン金利を禁止する内容でした。

そして、グレーゾーン金利を禁止したことに伴い、債務者(借金をしている人)が支払った利息制限法で制限している以上の利息は、借入元金の返済として計算し、借入金が完済になった後の返済金は、債務がないのに支払ったもので、資金業者が、不当に受け取った利益で、不当利得である。従って「不当利得返還請求」をすることができる。

…という風に、過払い金返還要求ができるようになったわけです。

ちなみに、余談ですが、過払い金返還請求に欠かせない「取引履歴」の開示についてです。当初業者に開示義務は無かったのですが、金融庁は債務者からの債務内容の開示要求には協力するように指導していたので業者は開示せざるをえなかったのが実情でした。

そして、平成17年7月に行われた「債務者から取引履歴の開示請求に応じる義務の有無」についての裁判で、最高裁判所は、

債務者よりの取引履歴の開示請求があった場合、その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務がある。

…という判断しましたので、これにより貸金業者は、完全に「取引履歴」をすぐ開示しなければいけないようになったのです。

最近の過払い金返還事情

過払い金返還訴訟は100%債務者が勝訴します。しかも過払い金には5%の金利が付くのですから、いままでぼろ儲けしていた貸金業者達は今、生きるか、死ぬかの土壇場に立っています。

悪賢い大手の「商工ローン」は先手を打って、貸金を早々に引き揚げ、資産は隠し、会社を倒産させて過払い返済から逃れてしまいました。

大手消費者金融の「武富士」も駄目なようですし、他の業者も倒産してはいないものの相当資金的に苦しい会社ばかりの様子で、100%返還出来ない処が増加しています。銀行系だけが何とか過払い金返還に応じているのが現在です。

貸金業者の返済能力は日増しに低下しています。「銀行系のクレジット会社から返還金の減額を懇願された」、との話もチラホラ聞こえ始めています。

このような情勢ですから過払い金返還請求は出来るだけ早くしたほうがいいと思います。将来、返還金が取れない、もしくは減額される、怖れがあるからです。

弁護士に聞いてみた!過払い請求って、自分でやるのとプロに頼むのどっちがお得!?
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